九州へワインを求めて(前編) | シェフズブログ | パーク ハイアット 東京

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九州へワインを求めて(前編)

こんにちは、マーケティングコミュニケーションズの浅賀です。
パーク ハイアット 東京では、食文化に精通した“マスター”の知識や技術をいかしたパーク ハイアットのグローバルプログラム「マスターズ オブ フード&ワイン」を毎年季節ごとに展開しており、今年の第1弾は「梢」で行うことになりました。

通常、お料理とのマリアージュといえばワインが選ばれることが多いですが、今回は「」料理長である大江 憲一郎が九州地方のワインに着目し、それらに合う日本料理の創作を試みます。そこでメニューの考案に先駆けてまずは、大江はじめ、総料理長ロナン カドレルとソムリエによる、九州のワイナリー視察を計画し、私も同行することに。せっかく九州まで行くのですからワインだけでなく海と山の幸探しも・・・九州の特産物を使った料理ならば九州ワインになお合うはずですよね。私たちは九州の“マスター”に会うべく1月下旬に大分・宮崎・熊本に行ってまいりました。

最初に訪れたのは、大分県の山に囲まれた盆地で西日本有数の葡萄産地でもある安心院(あじむ)町に位置する「安心院葡萄酒工房」。様々なワイン専用品種の栽培経験も豊富で、日本ワインコンクールで金賞・部門最高賞(日本一)を6回も受賞したそうです。今回の視察で出会う初めての“マスター”である工房長はとても穏やかで優しく歓迎してくださいましたが、いざ葡萄畑に入り大江に葡萄造りのこだわりや醸造の話をされるとキリッとした顔つきに変わったのがとても印象的でした。
シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法で造られた「安心院スパークリングワイン」は、きめ細やかな泡立ちに加えて、酵母由来のトースト香と果実味が爽やかな逸品でした。

続いて安心院の杜から約3時間の移動で辿り着いたのは、宮崎県の尾鈴連山の高台に佇む「都農(つの)ワイナリー」。日向灘を一望できるロケーションで最高に気持ち良かったです。丘の上の“マスター”から伺ったのは、多雨、台風などの過酷な自然条件との闘いでした。決して葡萄栽培に適していない環境のもとでも「いい葡萄がいいワインを造る」という信念のもと、不可能を可能にする挑戦を続けきたそうです。その結果、ワイナリーがある都農町で育まれた葡萄を100%使用し醸造されたワインは、世界的ワイン百科『ワインレポート』で過去に1位、2位を獲得するまでに至っています。
ワイナリー内の見晴らしのよいレストランでテイスティングを楽しむことができ、自社農園で栽培したシャルドネのみを使用して造られた「シャルドネ アンフィルタード」は重厚な味わいと華やかな余韻が心地よい一杯でした。

羽田から朝一の便で大分に訪れましたが早くも夕刻となり、1日目の行程は終わり、宿泊のために宮崎から一路天草へ。約5時間の九州横断の末、牛深(うしぶか)港近くの旅館に無事到着、夕食の時間はとうに過ぎてしまいましたが、お料理を客室に移動し待機してくださっていました。宮崎牛のすき焼きや、深川水産の方々からのはからいで特別に用意されたお刺身を美味しく頂戴しました。また、お吸い物の温め直しや、おひつの御飯をおにぎりにしてくださるなど、宿の皆さんのおもてなしの心に長旅の疲れも癒され、ホスピタリティの“マスター”にも出会うことができました。

明日は熊本を巡ります。続きは後編にて!

※九州ワインと日本料理が融合する「日本ワインと春の滋味 ~ 九州産スペシャルセレクション」(3月18日~4月9日)の詳細はこちらをご参照ください。