Discovering Japan ~神戸~
こんにちは。
パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル & バー」料理長のベン ウィーラーです。
先日、お取引先のご案内で、ティボ総料理長、料飲部 横田さん、資材部 永田さんとともに神戸を訪れ、牧場とせり市場の視察をしてまいりました。
神戸牛ついて
「神戸牛」とは兵庫県で畜産されている但馬牛の中でも厳選された牛肉のみに冠されるブランド名です。厳格な基準の格付け方法により、A4またはA5に達しないランクのものは神戸牛とは呼ばれず、但馬牛として出荷されるそうです。
驚くことに、実際に神戸牛として認定される但馬牛は年間約3000頭しかおらず、日本での牛肉消費量のわずか0.06%。輸出用はそのごく一部とのこと!
屠畜された牛を、熟練鑑定士が歩留まり、色合い、霜降りの有無、食感などで1~5の間で格付けします。また、個体識別ができるよう、それぞれ10桁のID番号が付けられるのだとか。
神戸せり市場
神戸せり市場到着後は受付を済ませ、衛生管理のため白衣に着替えます。靴にはシューズカバーも装着。入場前に衛生検査も受けます。
訪問当日は263kgから474kgまでの重さの26頭の牛がせりにかけられていました。参加業者は格付けされた牛の枝肉の品質を丹念にチェックして品物を選び、想定購入金額を決めて、これから始まるせりに備えているようです。
正午ちょうど、せり開始のかけ声が鳴り響くとともに、市場スタッフが一頭ごとの牛の詳細を解説していきます。但馬牛の基本価格と比較すると、神戸牛は2倍の価格でスタート。会場では一頭ずつのせりとなり、ハンディスポットライトでせりが終わるまで照らされていました。会場は時間が経つにつれ、どんどん盛り上がっていきます。興奮冷めやらぬ中、取引の終わった牛は数分のうちに個包装され、各購入業者のチルドトラックに送られていきました。
試食会
この日の夜、自社グループの太田畜産で飼育される神戸牛と自社ブランドの太田牛を中心に卸販売や小売、飲食店を経営する「太田屋」さんのご厚意により、「蔓牛焼肉 太田家」で地元神戸牛の様々な部位を試食させていただきました。お話によると、神戸にある3つの焼肉店のために週平均10頭を競り市場から仕入れ、精肉店で洗浄、解体し、提供しているとのこと。
肩ロースのスモーク、チャック、レバー、タン、カイノミ、テンダーロイン、ラウンド、スネ、頬肉。どれも柔らかさ、風味の複雑さ、口の中でとろけるような脂身が特徴的な味わいで神戸牛や太田牛の素晴らしさを再確認させていただきました。
太田畜産では現在2000頭の牛を飼育しており、そのうち200頭は別の牧場で神戸ビーフとして格付けされ、1800頭は兵庫県の山間部にあるいくつかの小さな牧場で飼育されているそうです。最高品質の穀物やトウモロコシを食べながら、牛たちがリラックスできるよう、一日中音楽が流れていました。彼らは非常に穏やかでゆったりと過ごしているようです。
私にとってはもちろん、同行したチームにとっても刺激的で有意義なツアーとなりました。今回の神戸視察でご尽力をいただいたお取引先の皆様、アレンジしてくれた資材部チームに心より感謝申し上げます。