日本が誇る伝統技法「金継ぎ」 | シェフズブログ | パーク ハイアット 東京

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Kenichiro Ooe

日本が誇る伝統技法「金継ぎ」

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皆様、こんにちは。「梢」料理長の大江憲一郎です。
「梢」にある4000点以上の器はどれも私が自ら選んだもので、季節やお料理にあわせて使い分けています。その中には何点か、漆と金粉を使用して割れた陶磁器を修復する日本独自の伝統技法、「金継ぎ」が施されたものも含まれています。漆が接着剤として使われ始めたのは石器時代にまで遡るといわれますが、この技法の確立は室町時代に広まった茶道の世界でのことです。茶の湯では、偶然のひびや傷に金継ぎすることで生まれた繕いを紋様と考え、茶碗に描かれた新たな景色に見立てて鑑賞してきました。修復は、中国からの陶磁器が貴重だったこと、ものを大切にする心持ちのためでもありますが、ただ直すだけでなく、それで芽生えた個性までも愛でるのは、元来日本人に備わる独特の美学でしょう。また、金継ぎを施すことで風格を増すものと逆に安っぽく見えてしまうものがあり、器の格が現れるともいわれています。

接合部分に金を塗って仕上げる場合が多いことからこの名で知られますが、ほかにも「銀継ぎ」、木地呂漆を上塗りした「白檀仕上げ」、漆を調色して修理したことを感じさせない「共継ぎ」などの技法もあり、どのように器を仕上げたいかにより選ばれています。

素晴らしい伝統であり、日本独特の美意識の結晶でもある「金継ぎ」は、いまや海外でも芸術として評価され、注目を浴びています。「梢」でのお食事中に、もし金継ぎされた器との出会いがありましたら、お料理とともにぜひその美しさもお楽しみください。

「梢」料理長
大江憲一郎