マンゴーを求めて静岡へ
7月中旬にNYグリルの料理長 シュテファン ヘアット、ペストリーブティックの料理長 パスカル シャルデラと共に、静岡県藤枝市で10種類のマンゴー栽培を始められたという、前市岡さんと長澤さんの共同経営の農園、恵比寿三郎商店に出かけてまいりました。
前市岡さんはブラジルで長年農業を営んでいて、5年前より限られた土地でも利益を生むことができる、この地に適した作物を探していたところ、現店主 長澤さんのアイデアでマンゴーに決定したそうです。
長澤さんは静岡大学大学院 農学専攻、農業ビジネスコースをこの3月に卒業した、日本の農業の将来を担う若手農業者です。
そこから前市岡さん達は、近畿大学や幾つもの農園を視察し、(株)緑産、工事関係者、藤枝市役所などの協力により栽培のノウハウを学び、理想のマンゴーを作るために様々なことに取り組む事ができました。またミネラル豊富な南アルプスの伏流水を取り込むため、新たに専用の井戸を掘り、今までに無いマンゴー専用のハウスを設計し施工したそうです。
この土地の利点は十分な日照時間が得られ、周囲は田園で適度な昼と夜の寒暖差があり、マンゴー本来の力を呼び起こすことが可能とのこと。そしてついに、自然のサイクルを守り、収穫も適した時期に行う、最低限の農薬や肥料しか使わない、ストレスの無い健康的なマンゴー栽培に成功しました。
水も時期により量やタイミングを適正に調整し、害虫対策も万全で実が成長するまでの間はハウスへの出入りは最小限にとどめ、クリーンな状態を保つという徹底した管理のもと、ようやく今回のオープンに至りました。
マンゴーは世界中に600種類以上もあるそうですが、現在日本で栽培されているマンゴーの98%はアーウィン種で、宮崎県や沖縄県などが主な産地です。
需要にこたえる為4月から出荷できる状態で流通しているものの、木にとっては負担がかかっています。通常マンゴーは7月8月で収穫する事がストレスがかからない理想の状態だそうで、この農園では将来を見据えてあえて10種類と課題の多い時間のかかる道を選択しました。そして試行錯誤を繰り返しやっと納得のいく初収穫を迎え、満を持して今年7/20正式にオープンとなり我々が訪問させていただいたというわけです。
こちらで栽培している種類は以下の10種類
アーウィン種(アップルマンゴー)、ナンドクマイ(ペリカン)、ハマチャノック(ペリカン) ケント ジル、玉文(ぎょくぶん)、赤キンコウ、キーツ、キンコウ、赤キーツ
肝心のマンゴーの味は、はどれも立派な出来栄えで個性があって素晴らしく、完熟したマンゴーの力強い香り食感、濃厚で豊かな甘みは格別です。同行したシェフ達も素晴らしいマンゴーの味に非常に感動しておりました。
農園スタッフの情熱で作られた10種類の宝石の原石を近いうちに、何らかの形でパークハイアット東京のゲストの皆様にお届けできればと考えておりますのでどうぞお楽しみに!