シェフズジャーニー<富山> | シェフズブログ | パーク ハイアット 東京

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Thibault Chiumenti

シェフズジャーニー<富山>

こんにちは。
パーク ハイアット 東京 総料理長のティボ キュメンティです。

今年6月、資材部の田口、料飲部の本多と一緒に、東京から新幹線で約2時間半の富山県を訪れました。10月4日(水)に「ニューヨーク グリル」で開催する日本酒「IWA」とのコラボレーションディナーのため、実際に足を運び、有名な富山湾の魚介だけでなく、現地の食についてさらに深く知りたいと考えたのです。

まずは、シャンパンメゾン「ドン ペリニヨン」の5代目醸造最高責任者であるリシャール ジョフロワ氏(Richard Geoffroy)が率いる「IWA」の酒造りを学ぶべく、富山駅から車で約45分かけて山間部にある酒蔵へ。豊かな自然に囲まれ、地平線の先に日本海が広がる風光明媚なところです。山、大地、海、農村、そして町という要素すべてが共存し、農業と工業、田舎と都会、伝統と現代、純種と混成が調和する日本らしい風景が印象的でした。

酒蔵では、米を磨き、研ぎ、浸し、蒸し、冷まし、さらに表裏を返し、すりつぶし、発酵させ、搾る工程をつぶさに見学。固体が液体へ、アルコールへと奇跡的な変容を遂げ、独自の味わいを生み出すために多くの複雑な要因が絡み合うことを学びました。
五感に響く日本酒らしい日本酒。ゆったりとした包容力を備えながら、個性が溢れる、輝きに満ちた日本酒。多彩な表情を見せ、奥深いハーモニーを奏でる1杯は、精米歩合を基準とした既存の価値観を超え、様々な要素の融合を経た複数の酒をアッサンブラージュすることで誕生します。

さらに、丹精込めて作られた食材との出会いを求めて、素晴らしいゴートチーズを黒部で生産している吉田朋美さんを訪ねました。自然豊かな牧場では、飼育する山羊を70頭という少ない頭数に限定し、健康で快適に過ごすために最適なコンディションが整えられており、吉田さんの情熱と愛情が伝わります。環境への配慮と新鮮な飼料、そしてきめ細かなケアが、高品質なミルクに繋がることを実感しました。富山湾の海洋深層水から取れた塩を使い、添加物を一切加えていないチーズは、フレーバーが柔らかく、独特の爽やかな風味があり、まさに自然の恵みそのものであると感じました。10月4日(水)「ニューヨーク グリル」で開催するIWAとのコラボレーションディナーでは、このチーズもメニューとして登場します。どうぞご期待ください!

パーク ハイアット 東京
総料理長
ティボ キュメンティ